【書評・読書感想】『直感と論理をつなぐ思考法』佐宗邦威著【永遠のβ版であれ。】

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急激に変化する社会。昨日の常識が今日通用しない世の中。

そんな世界にもはや「正解」はなくなってきている。

ではこの混沌の世界を私たちはどう生き抜けばいいのか。

PDCAを回すだけでも、市場のデータから完全な戦略を練るだけでもない。

答えは自分の「妄想」を駆動力にする「ビジョン思考」ではないか。

今回は

佐宗邦威著『直感と論理をつなぐ思考法』

を読んだので、その概要と感想を紹介します。

参考になれば幸いです!

著者の情報

著者の佐宗邦威さんは「開成高校→東大法学部→P&G→ソニー」と堂々たるキャリアを歩んできた方です。

P&Gはアメリカに本拠を置く世界最大の一般消費財メーカーです。そこで佐宗さんは大ヒット商品である「ファブリーズ」「レノア」などのマーケティングを手がけられてきました。

そうして「市場を分析して戦略を練る」プロとして過ごしてきた佐宗さんですが、さらにイリノイ工科大学の博士課程へと入学します。

本書は、その米国の一流デザインスクールでの学びを、より一般的に落とし込み、現代に通用する「新時代の思考法」を提唱する本となっています!

こんな人におススメ!

本書はこんな人におススメです!

PDCAサイクルに限界を感じている人
いくら考えても答えの見えない課題を抱えている人
自分のアイデアに自信が持てない人
現状維持の毎日を不安を感じている人

真面目な人ほどこういった悩みを抱えているはず。自分は一生懸命やっている、けれど良い「答え」が出せない。

それは大前提が間違っているのかも。

内容を確認していきましょう!

『直感と論理をつなぐ思考法』抜粋

もはや正解は存在しなくなった時代

「正解がない時代になった」というお決まりのフレーズは、もはや陳腐な響きを持ちつつあるほど随所で叫ばれているが、これは正解が「見つからなくなった」だけではなく、文字どおり「存在しなくなった」ということを意味している。「いかに答えを探すか」ではなく、「そもそも答えなどない」という前提で動くことが、大半の人・組織に求められるようになったわけだ。『直感と論理をつなぐ思考法』佐宗邦威著

現代は変化の激しい時代です。
そんな現代では「答え」というものは存在しなくなりました。

みなさんが関わっている分野も、きっとそうだと思います。
昔の常識は通用しません。常識が絶えず入れ替わります。

だからこそ「答え」がないことを前提に思考し行動するべきだ、と著者は言います。

私たちは真面目すぎるあまり一定の「答え」を探してしまいますが、この行動こそ現代で通用しない元凶なのです。

妄想を駆動力にせよ

「彼らは「論理」や「戦略」からはじめない。 彼らを突き動かすのは「直感」だ。自分が描く未来に対する、狂信的とも言える「妄想」だ。 ふつうの人なら「そうは言っても……」と諦めてしまうところで、彼らは「自分モード」のアクセルを踏みっぱなしにして走り続ける」『直感と論理をつなぐ思考法』佐宗邦威著

答えがない現代で私たちがすべきことは、自らの「妄想」を膨らませて、そこに向かって進むことだと著者は言います。

「妄想」とは「もし〇〇だったらどうなるだろう?」と考えること。

私たちは、今目の前にあるものだけから考えてしまいます。それでも現状を改善するような、ある程度の戦略は立てられるでしょう。

ですがそれ以上のことはできません。
「答え」を探してしまっているから。

そうではなく自分が「こうしたい」「こうなったらいいな」という妄想をいっぱいに膨らませる。どんなに突拍子もことでもいい。

著者によれば仮にその妄想が実現できなくてもいいそうです。

妄想に行きつく過程で、様々な新しいものが生まれる。
今の改善だけでは決して生まれなかったものが生まれる。

このことに価値があると。

永遠のβ版であれ

「表現はゴールではなく、そこから有益なフィードバックや気づきを引き出し、次なるバージョンアップへとつなげていくための手段である。その意味では、ビジョン思考の世界では、原則として「最終成果物」というものはあり得ない。存在するのはつねに「更新」を控えた試作品、いわゆる「永遠のβ版」である。僕がさきほど、「『表現』に踏み出すのは、難しくない」と書いた意図もここにある。」『直感と論理をつなぐ思考法』佐宗邦威著

そして妄想を形にする過程で
不完全な状態のものであっても公開します。

そこからフィードバックを受ける。さらに良くする。
その繰り返しで「妄想」へと少しずつ近づいていく。

β版とは「正式版をリリースする前にユーザーに試用してもらうためのサンプル」のことを言います。

私たちはつい、周りのマイナスの反応や失敗を恐れて、完成してからリリースしようとしてしまいます。

そうではなくβ版のリリースとフィードバックを繰り返していく。
これが「永遠のβ版」である。

これこそが変化が激しい世の中で「答えがない」中での「答え」なのではないでしょうか。

【まとめ】答えは自分が決めるもの

いかがだったでしょうか。

僕には最後の「永遠のβ版」という言葉が最も刺さりました。昔からの完璧主義の癖が抜けず失敗を恐れてきた僕には、厳しい言葉でした。

僕は常日頃アイデア力を高めたいと思っていた時に、この本を手にしました。

「妄想を手なずけ、圧倒的インパクトを生む…?」妄想なんて大切だと思ったことなかったぞ…と疑問を持ちつつ読み始めました。

読み終わった後、僕はもちろん妄想の大切さを学ぶとともに「答え」ばかり探している自分自身の姿勢に問題があったと気づかされました。

どんな人にも新たな気づきがある、そんな本だと思います。

また、本書は他にも具体的なノート活用術や、レゴブロックを使った発想トレーニングといったユニークなノウハウも豊富に書かれています。

そのためただ純粋に自身のアイデア力を高めたいという方にも必携の一冊となっています。

確実に今までのアイデアの常識を壊してくれますので、まだ読んでないという方は是非チェックしてみてください!

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